映画「牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」:エドワード・ヤン幻の台湾映画が県内で上映!




予告編

イントロダクション

『牯嶺街少年殺人事件』(クーリンチェしょうねんさつじんじけん、原題:牯嶺街少年殺人事件、英題:A Brighter Summer Day)は1991年の台湾映画。

第28回金馬奨で最優秀作品賞を受賞。第4回東京国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門審査員特別賞、国際批評家連盟賞受賞。1995年には、イギリスのBBCによる「21世紀に残したい映画100本」に選出。2015年には釜山国際映画祭のアジア映画ベスト100の第8位に選出された。

本作が最初に日本で劇場公開された時は3時間8分版であったが、本作完成時の当初のバージョンである3時間56分版によって、その作品世界をより深く堪能することが出来る。マーティン・スコセッシが設立したフィルム・ファウンデーションのワールド・シネマ・プロジェクトとクライテリオン社との共同で、オリジナルネガより4Kレストア・デジタルリマスター版が制作され、光と闇の世界をスクリーンで体感できる時が遂にやってきた。(一部ウェブサイトより抜粋)

ストーリー

1949年、中国大陸での国共内戦に敗れた国民党政府は台湾に渡り、それに伴って約200万人も台湾へと移住した。1960年、そのように移住した張家の次男小四(シャオスー)は、中学の夜間部に通っており、“小公園”と呼ばれる不良少年グループに属する王茂(ワンマオ)、飛機(フェイジー)、滑頭(ホアトウ)らと同級生だった。小四は少女小明(シャオミン)と知り合う。彼女は小公園グループのボス、ハニーの彼女という噂だ。ハニーは対立する“217”グループのボスと小明を奪い合い、相手を殺して台南へ逃げたという。ある時小四は小明と一緒にいたと217グループに因縁をつけられるが、最近小四のクラスに転校してきた軍の指令官の息子小馬(シャオマー)がひとりで助けてくれた。小四は小明へのほのかな愛情や、小馬との友情を育んで日々を過ごしていく。小四の兄は優等生だが、たちの悪い友人“葉っぱ”と一緒に217グループのたまり場のビリヤード店に出入りするようになっていた。葉っぱはコンサートを開いて一儲けしようと企んでいたが、ビリヤードで負けがこみ217グループの現ボス、山東(シャンドン)に脅され、彼を滑頭に引き合わせることになる。山東は歌に夢中になっているハニーの弟二條(アーティアオ)を出し抜き滑頭に小公園グループをまとめさせ、さらに自分がそれを牛耳ろうという腹づもりでいた。そんな頃、ハニーが帰ってくる。50年代のアメリカン・ポップスに沸き立つコンサート当日の会場に彼はやって来て山東と和解しようとするが、山東は走り来るトラックの前にハニーを突き飛ばして殺してしまう。小明はショックで寝込み、小四は台湾人ヤクザとともにハニーの仕返しに行く。山東は殺された。その晩帰宅すると、小四の父は共産党との関係を問われ秘密警察に呼び出されていた。ある日、小四は小明とのつきあいを注意されてかっとなって反抗し、退学になる。彼は昼間部への編入試験を目指して勉強するが、滑頭から小明と小馬の仲を告げられる。小明は失業中の母をお手伝いに雇ってもらい、小馬の家に住み込んでいた。下校時の小馬を脅そうとして小四は学校へ行くが、小明に会い、話しているうちに自分でも分からぬまま小明を刺し殺してしまう。(出典:Movie Walker

雑感

3時間56分の長編映画は、途中休憩なしでしたがひと時も目を離せずあっという間に終わります。

1960年代初頭の台湾。中国から移住してきた外省人の子供シャオスーを中心に、その家族の関係、友人関係、外省人以外との関係、不良グループの抗争、彼らの心情や当時の時代背景が描かれた青春物語であり、台湾で実際に起きた殺人事件をモチーフにされた一大叙事詩です。

台湾の映画というと侯孝賢のイメージがありますが、彼と同様、ハリウッドのように役者の存在感を前面に出すことはせず所謂「客呼び映画」路線は辿らないものの、役者とカメラの微妙な距離、寄り過ぎることのないフレーミングは登場人物の感情すらダイレクトに伝える事を拒みながらも、逆にリアル感を増加させます。この現実感は暴力をより痛々しく、子供の感情をより浮き立たせるものになります。

写された映像はすべて、どの箇所で切り取っても絵になるもので、それらを繋ぎ合わせた静と動、明と暗のコントラストはとても「映画的」と言えます。物語を知らずとも、それを観るだけで十分に価値あるものでした。

時代に翻弄された台湾も描かれ、かつて長い間日本の植民地であった名残として日本家屋や日本刀、拳銃が登場します。さらにエルヴィス・プレスリーなどのアメリカ文化が流入して若者は夢中になり、奔馬のようにかつての台湾や歴史的背景までが浮かび上がってきます。

小四「この世界は僕が照らしてみせる」

この言葉が意味する恐らく外省人の想いは、現地人に伝わるのか。そのリアクションは小明の返事にあるのかもしれません。

ただ、ヒロイン的な小明は多数の男性と恋愛らしい関係を結んでいそうですが、その魅力はイマイチわからない顔をしています。

日本では初上映以来25年間DVD化もされず、NetflixでもAmazonで探しても映像はありません。そこで急に劇場で公開されるこのタイミングを逃してはなりません。

1991年という年号は、ソ連という国家の消滅によってではなく、ましてやジョナサン・デミの『羊たちの沈黙』がハリウッドでオスカーを独占したことによってでもなく、「クーリンチェ少年殺人事件」と題されたたった一本の映画が台湾から世界に向けて発信されたという希有の事件によって記憶されることになるだろう。(蓮實重彦「映画狂人日記」)

問答は無用だ。だまって映画館にかけつけ、この真の傑作に打ちのめされるがよい。(蓮實重彦、この度の公開についてコメント)

県内公開情報

MOVIE ON やまがた
2017年6月3日より

鶴岡まちなかキネマ
2017年5月27日より

スタッフほか詳細

HP:http://www.bitters.co.jp/abrightersummerday/
原題:牯嶺街少年殺人事件 A Brighter Summer Day
1991/台湾 上映時間236分
監督・脚本・美術:エドワード・ヤン
製作:ユー・ウェイエン
製作総指揮:チャン・ホンジー
脚本:ヤン・ホンヤー、ヤン・シュンチン、ライ・ミンタン
撮影:チャン・ホイゴン
美術:ユー・ウェイエン
編集:チェン・ポーウェン
音楽:チャン・ホンダ
出演:チャン・チェン、リサ・ヤン、ワン・チーザン、クー・ユールン、タン・チーガン、ジョウ・ホェイクオ、リン・ホンミン、チャン・ホンユー、ワン・ゾンチェン、タン・シャオツイ、ヤン・シュンチン、ニー・シュウジュン、ワン・ウェイミン、チャン・クォチュー、エレイン・チン、ワン・ジュエン、チャン・ハン、ジャン・シウチョン、ライ・ファンユン、シュー・ミン、シュー・ミンヤン




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